With&Afterコロナ時代のテレワーク<その7>

  忘れてはならないテレワーク実施上の対策  
テレワークを実施する上で、テレワーク費用負担について会社として忘れてはならない対策について整理しました。

3⃣作業環境整備による社員の安全衛生管理
①テレワークにおいても、社員の安全衛生管理の必要がある
テレワークのうち、「在宅勤務」については、勤務場所が社員の自宅ではありますが、社員の安全衛生管理を行う必要があります。つまり、在宅勤務を行う社員はパソコンのディスプレイを見て仕事をすることが多いため、心身の不調が生じることがあります。特に、目の疲れ・痛み、頭痛、首・肩の痛み・こり、腰の疲れ・痛み、腕・手・指の疲れ・痛み、イライラ、疲労感といった症状が発生することがあり得るため、会社として、これら症状の発生を防止するための助言等が必要になります。
また、法律上、テレワーク社員も含めて、常時使用する労働者に対しては、雇用時の安全衛生教育の実施や雇用時及び定期の健康診断やその結果に基づく事後措置、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェック(常時50人以上の労働者を使用する事業所に義務づけ)及び労働者の申し出に応じた面接指導等の実施が義務づけられています。

②情報機器ガイドライン・テレワークガイドラインを参照する
そのため、会社は厚生労働省の通達「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(令元.7.12基発0712第3号)」(以下、「情報機器ガイドライン」といいます)などに留意しつつ、社員が支障なく作業を行うことができるよう、在宅勤務に適した作業環境管理のための助言等を行うことが望ましいでしょう。
情報機器ガイドラインでは、例えば、作業環境管理として、作業者の心身の負担を軽減し、作業者が支障なく作業を行うことができるよう、照明及び採光、情報機器等の選択、騒音の低減措置などを詳細に指摘するほか、作業管理、情報機器等及び作業環境の維持管理、健康管理、労働衛生教育など多岐にわたる労働衛生管理の指針を示しています。
また、テレワークガイドラインは、「テレワークにおける安全衛生の確保」の項目を設けて詳述しており、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」を提示していますので、これらも参照するとよいでしょう。

③テレワークであっても労災リスクはある
どのような形態のテレワークにおいても、テレワーク社員が労働者である以上、労働基準監督署において「業務災害」または「通勤災害」と認定された場合には、「労災」になります。そして、業務災害とは、労働者が業務を原因として被った負傷、疾病または死亡(以下、「疾病等」といいます)であって、業務と疾病等の間に一定の因果関係があることが必要になります。なお、通勤災害とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所の往復等を合理的な経路及び方法で行うこと等によって被った疾病等をいい、自宅勤務以外のテレワークにおいて認定される可能性があります。具体的にテレワーク労災で認定されたケースについて、テレワーク労務管理Q&Aでは、次の事例が挙げられています。つまり、自宅だから労災にはならない、とは言えません。

自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案。これは、業務行為に付随する行為に起因して、災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないため、業務災害と認められる。