大家さんと新たな時代のよい関係を築こう <その4>
ガス切り替えトラブルを避けるために、いま必要なのは“誠実な提案”
「給湯器、今ならタダで取り付けます!」「切り替えていただければ、Wi-Fiも無料にします!」
そんな“お得そうに見える”チラシを手にした大家さんが、「○○ガスさんもサービスしてくれるの?」と相談してくることがあります。実はこのような無償提供型の切り替え営業は、かつて一部業者によって行き過ぎた競争が横行したことで、現在は法律によって原則禁止されています。無償設置の裏で、入居者に不当に高いガス料金が課せられるような事例が多発したためです。
大家さんにとって、安く設備が導入できるのは魅力ですが、結果として入居者の満足度が下がり、長く住んでもらえなければ意味がありません。さらに、こうした“お得な話”に乗った結果、「途中で契約解除できない」「知らない間に高額な違約金が発生する」などのトラブルに巻き込まれるケースもあります。
大切なのは、信頼に足るガス販売店かどうか、しっかり見極めていただくこと
信頼に足るガス屋さんかどうか、見極めてもらうためにはガス屋さん自身も、以下の点を大切にした営業姿勢が求められます。- 法令に基づいた契約提案(無償貸与NG/適正価格での販売・レンタル)
- 入居者が“長く住みたくなる”ような設備の提案
- 家主にとって“経営メリット”が明確なサービス説明
- 契約内容の透明性、将来のコストまで見据えたアドバイス
「ガス屋さんの利益ってなんだろう?」と聞かれることがあります。ガス屋さんにとっての利益は、“入居者が安心して長く暮らし、安定的にガスを使ってもらえること”。そのために、大家さんとの信頼関係を築きながら、リースやレンタルなど柔軟な契約形態を通して、安心して導入できる提案を行っていくことが重要です。
情報を“隠す”のではなく“見える化”して説明するガス屋さんがこれからの時代に選ばれます。ガス切り替えの現場だからこそ、誠実な営業で信頼を積み重ねていきましょう。

賃貸物件において、エアコン・インターホン等の費用をLPガス料金に上乗せする商慣行が、法改正で禁止されたにも関わらず、これまで通り設備費の回収をしている一部のガス会社が大家さんとの間で契約見直しや精算交渉に発展するケースが報告されています。また、売却や契約継承時に「未償却分契約金の返還」を求められ、法的根拠不明の請求が発生し、資源エネルギー庁も「法では義務化されていない」と見解を表明。加えて、「三部料金制」導入に伴う情報開示や契約調整で齟齬が生じ、両者間の信頼関係にも影響が出ています。