コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その14>
「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。
当事者に連絡する場合には、気になったニュアンスも伝えましょう。
連絡の事例5
朝一番、「部長と話したい」という電話が入りました。相手は長年のお得意先の社長で、内容は先日こちらのミスで迷惑をかけた新型パソコンの受注の件でした。電話を受けたのは新人の中田君でしたが、部長は地方に出張中で、次に出社するのは3日後です。「戻り次第電話させます」と伝えたところ、「話にならんな」と一方的に電話を切られました。とりあえず、マニュアル通り電話メモを部長の机に置いておきましたが、3日後メモを読んだ部長は絶句してしまいました。
事例5の問題点 上司の留守中に受けた電話の処理
このケースでは、先方はおそらくクレーム目的で電話をかけてきています。ですから、中田君の答え方は論外です。「戻り次第電話させていただきます」は一見よさそうですが、実はクレームを増幅させる恐れが潜んでいます。先方は「部長と話したい」と言っているのですから、電話を受けた者の正しい対応としては、「出張先に電話をして、○○からすぐに△△様に電話するように申し伝えます」となります。
事例5の問題点 クレームと思われる連絡を受けたら慎重に対応しよう
◎当事者がいなければ他の人に伝えることも一案
部長宛てにかかってきた電話であっても、その下の課長や担当者には分かる場合もあります。このような時には、連絡する順番を決して間違えてはなりません。まず、出張先に電話をかけて部長に伝え、次に、部長から「課長や担当者に任せる」という指示が出て初めて、代理の者から先方に電話をかけることになるでしょう。
会議中や出張中に緊急の連絡が必要となった場合にはどうするのかなどを、社内で確認しておくことが大切です。
◎微妙なニュアンスまで伝えられるのは連絡を受けた本人だけです
「話にならんな」と電話をガチャっと切られたとき、中田君は事態が穏やかでないと感じたはずです。当事者に連絡する内容の中には、事実を伝えた後に「ちょっと気になったのですが」と言葉を添えたうえで、感じ取ったニュアンスまで伝えることも、時には必要です。非常事態の緊急性は、それを聞いた当事者だからこそわかることですから、その一言が上司にとって大きく役に立つ心配りとなるでしょう。この事例における先方の態度は、電話を切った段階で、速やかに課長や担当者にも伝えるべき切迫したものだったと言えます。