工務店と創る、新しいガスビジネス <その6>
接点を“暮らしの提案”へ広げる
給湯トラブルをきっかけにお客様と接点ができたとき、ガス屋さんが提案できるのは給湯器だけではありません。「洗濯物を干したり、取り込んだりが大変」
「冬場の脱衣所や浴室が寒い」
「光熱費が気になる」
「補助金を使えるなら家を直したい」
こうした暮らしの困りごとは、設備提案やリフォーム提案につながる大切な入り口です。
たとえば、ガス屋さんが提案したい商品のひとつに、ガス衣類乾燥機があります。高齢者世帯や子育て世帯にとって、天気に左右されず、洗濯物を干す手間を減らせることは大きな魅力です。一方で、工務店にとっては、窓リフォームや断熱改修など、補助金を活用できる工事も提案機会になります。寒さ対策、省エネ、光熱費の見直しは、お客様の関心も高いテーマです。
ここで大切なのは、ガス屋さんが自社の商品だけを売ろうとしないことです。ガス衣類乾燥機の提案をきっかけに、脱衣室の使い勝手や窓の寒さ、浴室まわりの不満を聞き取る。必要に応じて工務店につなぐ。反対に、工務店が人手不足で動けない場合は、ガス屋さんが対応できる範囲を担い、成約時には紹介手数料として工務店へ還元する。
工務店がすべてを自社で販売・施工すれば、より大きな利益が見込めます。しかし、人手不足や後継者問題を抱える工務店にとっては、すべてのOB客対応に手をかけることが難しいのも現実です。だからこそ、ガス屋さんが提案や初動対応を担い、工務店は人手をかけずにOB客との関係を守りながら収益にもつなげる。そんな協業の形が必要になります。
接点を持つだけで終わらせず、暮らしの提案へ育てること。それが、ガス屋さんを工務店の下請けではなく、共に売上と信頼をつくる戦略パートナーへ変えていくのです。

ガス衣類乾燥機を売りたい。窓リフォームにつなげたい。もちろん、商売としての目的は大切です。 でも、お客様に伝えるときは「商品」から入るより、「困りごと」から入るほうが自然です。日々の小さな不満を拾い上げることで、設備提案やリフォーム提案は暮らしを整えるお手伝いになります。 ソフィア企画では、ニュースレターやDM、設備・リフォーム提案につながる販促ツールづくりを通じて、ガス屋さんと工務店の関係づくりを支援しています。接点は、次の相談につながる形に育ててこそ、新しいビジネスになります。
お湯が出ない。お風呂に入れない。台所で冷たい水しか使えない。そんな切実な困りごとに、ガス屋さんが仮設給湯で応急対応できたとき、お客様の安心感は大きなものになります。
「すぐに来てくれて助かった」「今日からお湯が使えるようになって本当に良かった」この感謝は、強い信頼の入口です。
緊急対応で生まれた信頼に、継続的な情報発信を重ねることで、次の相談が生まれます。給湯器の交換だけでなく、水回りリフォーム、暖房機器、乾太くん、省エネ提案など、暮らし全体の相談へ広がる可能性もあります。工務店はOB客との関係を守れる。お客様は暮らしに役立つ情報を受け取れる。ガス屋さんは継続的な接点から次の提案機会を得られる。困りごと解決は、入口にすぎません。そのあとに関係を育てる仕組みを持てるかどうかが、下請けで終わる会社と、戦略パートナーになる会社の分かれ道なのです。
本来、工務店が自社で給湯設備を販売・施工すれば利益を得られますが、急な給湯トラブルに対応できる人員を確保できない工務店も少なくありません。そこで、OB客の同意を得たうえで情報をガス屋さんと共有し、トラブルの受付から仮設給湯、設備の提案までを任せる仕組みをつくります。ガス屋さんは対応結果を工務店へ報告し、機器の販売が成立した場合には紹介手数料を支払います。
ここで重要なのは、ガス給湯器を売ったかどうかではありません。お客様の困りごとを解決したことです。これからの時代、人手不足はさらに深刻になります。工務店も、設備業者も、住宅関連企業も、限られた人員でお客様を支えていかなければなりません。だからこそ必要なのは、「ガスを売る会社」ではなく、「お客様を守る会社」です。選ばれる会社は、商品で差別化しているのではありません。困ったときに頼られる存在になることで、選ばれる理由をつくっているのです。

● 即応力―給湯トラブルへの迅速な駆けつけ。 
しかし、法改正によって「安さ」や「無償」を武器にできなくなった今こそ、本来の力が試される好機です。現在、人口減少により新築着工は減少し、工務店も以前のように仕事が安定している時代ではありません。彼らもまた、ただ仕事を下請けに流すだけでなく、自社の顧客満足度を高めてくれる「真の支え」を求めています。