デザインの役割とデザイン思考(その4)

☆デザイン思考(デザイン・シンキング)の5つのステップ
広い意味でのデザインを理解し、デザイナーのスキル(発想法)を利用するための5つのステップをご紹介します。

デザイン思考の原則の中でも一番重要視されるのが、「ユーザー中心主義」という原則ですが、ユーザーを中心に考えることなど、どこの会社もやっているし、個人レベルでも「ユーザーを中心に置いているかどうか」と聞かれた時に「No」と答える人はまずいません。ユーザー中心主義とは、ユーザーの欲しいものが何かをとにかく聞き、その通りに行うという「お客様第一主義」の考え方とは違うのです。アメリカの大手自動車メーカー、フォードモーターの創設者であるヘンリー・フォードはこんな名言を残しています。

“If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.”
もし私が、人々に何が欲しいかを聞いたならば、彼らは「より早い馬車」と答えただろう。

彼は、ユーザーの要望を聞いたのではなく、ユーザーの言動から彼らの欲しいものをより深く分析してフレーム(再定義)することで「より早い移動手段」という要望を定義したのです。ユーザー中心主義というのは、ユーザーよりもユーザーのことを深く理解することで、ユーザー自身も気づいていない問題を解決することになります。だからこそ、他社との差別化ができ、イノベーティブなプロダクトへと繋がるのです。
自分の欲しいものというのは自分が一番わからないものである。だからこそ、デザイナーというプロがそれを明確化するのであり、デザイン思考はその考え方を体系化したものです。

「デザイン思考」では、1~5のステップを踏まえ、それぞれの場面で「デザイン能力」に基づき進行し、問題があれば、このステップを繰り返すことになります。

自社で「デザイン思考」を活用する場合、自らが「デザイン思考」を使えるようになることが理想的だが、難しい場合はデザイナーを活用して進めていく方法もあります。