タイミングで成功する人、失敗する人<その7>

タイミングで成功するコツ
仕事の質だけが成果を左右するとは限らない。成功に導くか、失敗を招くかはタイミングをいかすかどうかにかかっているといえる。せっかくのよいアイディアを眠らせないために、また、交渉・説得をスムーズに進めるためにはタイミングはどうはかったらよいのかなど、数回に渡って考えてきたが今回はタイミングで成功するコツをまとめてみた。


日本語で「間抜け」というのは「気がつかないでばかげたことをすること。また、その人」(岩波国語辞典)と説明されている。要するにうまく『間』をつかまえられない人ということになる。タイミングよく仕事を運べなかったり、自分がチームのパートを務めないと、間抜けということになる。
この『タイミング』が重要な場面はビジネスでは毎日のように起こる。大きな戦略的なタイミングから小さな戦略的なタイミングまでいろいろある。その基本のポイントは、

①時の大きな流れ
②社会、自然界、人間行動に見られる時間帯
③関係相手との対応
④熟成に必要な期間

以上の4要件を何か実行する場合にはまず考慮することが重要だ。
もちろん、応用力も問われるが、いつもタイミングを考えることが不可欠である。


タイミングの重要性が分かっていても、タイミングで失敗する人がいる。それはこんな人だ。

①性急な行動に出る人
②計画変更を不意に、平気で行う人
③ネガティブ・アプローチをとる人(物事を消極的に捉える人)
④相手の都合、状況を考えない人、自分本位の考えをする人
⑤周囲の状況、環境の変化を知らない人
⑥世の中の流れの法則を無視する人
⑦コミュニケーションの下手な人 ということになる


タイミングをうまくつかまえる人とは、タイミングに失敗する人と裏返しの人ということにもなる。タイミングのつかまえ方の上手い人にはタイミングの意識が強い。その意識の源泉は何か。それは自分の人生、仕事を通して目的、願望、人生設計といったものを常日頃、明確かつ具体的に描いていることにある。自分の人生計画、願望、目的をうまく達成しよとして必要な情報をとらえ、チャンスを求めようとする。それがその人のタイミング意識を作動させ、タイミングの把握、活用度を向上させることになるのである。

タイミングで成功する人、失敗する人<その6>

内容だけでは勝負できない交渉・説得のタイミング

自分の任務・仕事をすすめていくうえで、交渉・説得のプロセスはビジネスの場では不可欠である。任務・仕事が困難であればあるほど、この交渉・説得には気をつかうものである。では、商品や企画を売り込むうえで、仕事に協力してもらったり、困難な任務を引き受けてもらうために、上司、部下、仲間、取引先、顧客などを相手に常に交渉・説得しなければならないが、そのタイミングをつかむのにはどうすればよいのか。



交渉や説得にはタイム・リミットがある。このタイム・リミットを念頭にいれて、交渉・説得のスケジュールを描いてみると、タイミングをつかむことができる。交渉・説得にはどのようなプロセスをふんでいく必要があるのか、必要なプロセスも具体的に書き出してみる。どのような雰囲気作りが必要なのか、根回しは誰にいつまでに行うべきかといったことも調査し、交渉・説得までのスケジュール、必要な準備行動を書き込み、スケジュールをみながらタイミングをつかまえてみる。周到な準備づくりが交渉・説得のタイミングを用意してくれるといってよい。
タイム・リミットまでに交渉・説得できなければ失敗となることを念頭に、交渉・説得の条件、手順を詰めておくと、タイム・リミットまでに目的を達成しうる可能性も高まる。



相手が心理的にも肉体的にもYESといえるような状態にあるときに交渉・説得するのが一番よいタイミングといえる。相手が何かに成功しているとき、活気に満ちているときなどは一般的に説得のよいタイミングといえる。「気を制する」という言葉がある。売り込んだり、強引に説得したり、交渉するときに使う手である。相手に抵抗する余裕を与えない。先制攻撃をかける。スキをみて積極的に打って説得する。これらもタイミングの問題である。



相手が交渉・説得される事項について理解、了解している度合いが高ければ高いほど、交渉・説得しやすい。事前工作を充分行い、相手の理解度が深まった時を見極めて交渉・説得するのがよい。これが交渉・説得に成功するタイミングである。事前説明を誰かにしてもらったり、情報を流しておくようなことがこのタイミングづくりに役立つ。根回しは日本人の交渉・説得のタイミングづくりの知恵である。

タイミングで成功する人、失敗する人<その5>

ただ開くだけでは有効な会議にはならない

日本のビジネスマンは1日の勤務時間のうち、課長になると40.2%、部長は42.0%、役員は42.6%と役職があがれば上がるほど会議や打ち合わせのために時間を使っているという。会議や打ち合わせのために約4時間も使用しているが、すべての会議や打ち合わせが効果的に行われているわけではない。タイミングという視点から会議や打ち合わせを効果的に開催するにはどうしたらよいのか。


会議や打ち合わせには定期的になっているものが多いので、全員が出席できる確率が高い日にあらかじめ設定するのがよい。これは会議メンバーのスケジュールの中に会議の日程をあらかじめ織り込ませることによって会議のタイミングをつくりだすので効果的である。毎週、毎月、何曜日の何時という具合に定例会議の日程を決めることによってタイミングの先取りをするわけである。
定例日をあらかじめ決められない場合には、会議が終了したら散会前に次回の開催日を決めてしまうのがよい。その場合、2,3回先の会議日程もその場で調整しておき次回にその日程を確認するのもよい。議題に「次回開催日の確認」も上げておくと、この確認を忘れなくて済む。一般のビジネスマンは、週のスタートや終わりの月曜日や金曜日は打ち合わせや事務処理に追われることが多い。定例的な会議の開催は一般的にいって、月曜日と金曜日を避けるのがよいようだ。
突然、会議を招集しなければならないことも多い。日程調整をうまくやり、会議がタイミングよく開催されるようにするには関係者の行動スケジュールを互いに把握しておくことで、タイミングよく会議や打ち合わせのスケジュール調整ができる。


気楽な非公式の打ち合わせ、予備会議のようなものは、スキ間時間に行うと効果があがるし、関係者も集まりやすい。通常は出勤前の1時間とか、ランチタイム、あるいは終業時等、何か行動を起こしたり、終了したりするときに生まれるスキ間時間の活用である。ちょっとした打ち合わせはランチタイムやコーヒータイム等、スキ間時間に何かしながらというのが効果的で人も集まりやすい。


会議や打ち合わせは必ず打ち切る時刻を決めておく。タイミングよく打ち切るには、会議を始める前に打ち切り時刻を確認しておくこと、そして、15分前と5分前に打ち切り時刻を確認するとよい。この予告をすることで定時にタイミングよく会議を終えることができる。

タイミングで成功する人、失敗する人<その4>

商品がよいだけでは競争に勝てない

いかに品質の良い商品あるいはアイディア商品でも、発売のタイミングが悪いとよい成果を上げられない。
10年くらい前にある商品を開発・販売した。当時はアイディア商品と騒がれたが一向に売れなかった。数年後に手直しして再発売したら品不足になるほどの売れ行き、という話もよくある。これはタイミングの問題。同じことが新規事業や新企画のイベントを実行するときにもよく起こる。以下の基本ポイントをつめたら、具体的な実施スケジュールを作成し、もう一度タイミングを見てみることが重要である。

市場調査は単に目先の需要をとらえるのではなく、市場の環境条件も調査してみる必要がある。その新商品が時流にマッチしているかどうかの判断も重要である。
マーケットを絞り込んでとらえてみる必要もある。マーケットを具体的に絞り込んで市場調査するとニーズがいつ頃起こるのか判断できる。地理的に把握する場合は、ある地方ではその製品の発売は8月の方がよいとか、3月の方が新製品発表のタイミングとして最適といった具合にわかってくる。
 
 

競争相手の営業活動を調査して、どういう場所で、どういう時期に営業活動を活発にしているのか、情報を集め分析しておく必要がある。多くの場合、そこにはスケジュールが存在し、反復性がみられる。
競争相手の癖から見て、自社の新製品の発表時期は先手で行くのがよいのか、競争相手の発売から遅れてしばらくして出すのがタイミングとしてよいのかということも検討しておく必要がある。リスクの高い製品、先のあまり見えない市場に進出する場合には、競争会社が市場創造をしてくれるのをみて、こちらの新製品を発売するという手がよく用いられる。
 
 

新製品が首尾よく開発され、マーケットも熟しているのに、社内の準備態勢ができていないために、新製品の発売に失敗したという例がたくさんある。せっかくのタイミングを失う大きな原因はしばしば、「社内」にある。販売チャンネルが準備されていないとか、セールスマンの訓練不足とか、宣伝が行き届いていないことがその一例である。発売時期を決定したのに生産設備が間に合わなかったとか、生産に必要な資材、部品が入荷しなかったために発売が遅れ、勝機を失ったというケースはいくらでもある。新製品の発売のタイミングは社内の有機的なプレー、リンケージの良さによっても作られるということをいつも留意する必要がある。
 

タイミングで成功する人、失敗する人<その3>

企画案がよいだけでは成功しない

今までと同じことをやっていては、企業は活力を失い、競争に負けてしまうことになる。「創造」の源泉は企画作りである。また、企画案は必ず、上司や関係者にプレゼンテーションして、了解・協力を得て進める必要がある。その企画作りやプレゼンテーションに成功するのにもタイミングが非常に関係してくる。

アイディアは何日か熟成させる
よい企画だと思ったらひとまずその企画をねかせてみるとよい。企画を成功させるためにはいろいろな付帯条件を準備する必要があるが、この付帯条件を検討しないままに企画を実行に移して、あるいは上司や関係者にプレゼンをして失敗することがよくある。企画をよく練っていないために問題点ばかり指摘されて、せっかくの良い企画も採用してもらえないという羽目に陥る。
アイディアは熟成させると実行するのに必要な条件やタイミングも見えてくるものである。2,3日放置して再検討してみると単なる思い付きのアイディアで実現不可能であることが分かるということもある。2、3日置いてみると論理に不備なところや調査不十分なところ、それに誤字脱字が目に付くというケースもある。特に戦略的性格の濃い企画案はこの熟成が必要である。熟成は良いタイミングを生み出すための触媒みたいなものかもしれない。

2の手3の手を考えておく
よい企画であるかどうかは企画を実施する状況次第である。状況が変われば、良い企画案にも手直しが必要になったり、企画案そのものがボツにもなる。企画が承認されるには、その企画を実施するタイミングであると判断されるということになる。しかし、このタイミングをはかるのはなかなか難しい。そこで、企画案を作成する場合に、予測される状況変化に対応した実行手段を複数案用意しておく。
戦略的な企画である場合には特にこの点が重要である。失敗した場合に
備えて次の一手が用意されているとなれば、その企画は結局のところ、
タイミングを失わずに実施されることになる。

あらゆる要素を吟味する
プレゼンのタイミングは関係者への事前の根回しと、プレゼンの場所、時間、プレゼンを受ける人の心理状況でも左右される。もちろん、プレゼンの中味も大事ではあるが、環境条件ができていないとせっかくのよいプレゼンも成功しない。企画案をつくるときにプレゼンの方法、環境条件も考えておくと、プレゼンテーションのタイミングは一段と向上する。

タイミングをつかまえる条件

タイミングで成功する人、失敗する人<その2>

成功はいつまでも続かない<撤退・転換のタイミング>

撤退は前進より難しいといわれるが、ビジネスでもいつまでも成功し続けることはないし、物事には寿命のようなものがあるから徹底というアクションの必要性はいつでも起こりうる。一つの事業からの撤退、ある商品の発売中止、ある市場からの徹底という現象が繰り返されて企業は存続する。

1.商品や事業には寿命がある
新商品を開発・発売したとき、新事業に進出した時、新しい工場を建設したときに、いつでも最初から撤退の時期を想定しておく。多くの場合、人は成功すると、その成功はいつまでも続くと錯覚をおこしやすい。新商品が当たるとそれに夢中になりその商品が売れなくなることを忘れてしまう。
残念ながら一つの成功がいつまでも続くということはない。盛者必衰の例の如く、必ず多くの物事はピークに達すると降下する。商品にも事業にもライフ・サイクル(寿命)があることを念頭に置き、新しいことを考え行動すれば、タイミングを失わず、痛手、損失を最小限に抑えることができる。

2.社会の変化が撤退のタイミング
経済、政治、社会にも大きな流れがあり、その流れに大きな転換期が起こることがある。会社にも大きな転換期がある。また、歴史の流れには節目がある。こういう節目は撤退のタイミングである場合が多い。この場合撤退=転換期と考えてもよい。世の中の流れが変わったのだから、こちらもそれに合わせて変化=転換すると考えるわけである。新製品や新事業の方向を変える場合にはこの転換期を選ぶ必要がある。

3.節目を自ら作る
何か仕事をするときにはこの期間内でこれだけの成果を上げたら、その時には必ず撤退、転換をするとあらかじめ決めておく。すなわち「任期」を決めて仕事につくというやり方である。もちろんこの「任期」=タイム・リミット前に撤退しなければならない場合が発生する可能性はある。しかし、このタイム・リミットをあらかじめ定めておくと、いつまでもずるずると流れに流されて「引き際」を失うという危険は減少する。
10年間住んだらこのマンションを売って次の一戸建ての住宅に住みかえるとか、60歳になったら社長の座を譲るべく後継者を育成するといったようにタイム・リミットを決める。タイム・リミット=節目を自ら作り、転換していくと事業、仕事、人生も活性化してくる。

◆タイミングをつかまえる条件
①最初から撤退の時期を想定しておく
②大きな転換期をとらえる
③タイム・リミットを決めておく