DXの活用でガス屋さんの『顧客』を『個客』に <その5>

 DXに向けた業務の見直しは、今までの業務の矛盾や本質をとらえる数十年に一度のチャンスでもあります。DXを新たに活用することでガス事業者さまの『顧客』を『個客』に変えるという新たな視点から既存の慣習やルールを変革するヒントを引き続きシリーズでお届けしたいと思います。DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「デジタル技術を活用した改革」を意味します。「攻め」と「守り」があり、営業DXは「攻め」に該当します。主にWEBサイト・SNS・MA(マーケティングオートメーション)・SFAと言った営業系ITツールから得られる情報を活用し、「顧客サービスの向上」「新規客の開拓」「営業生産性の抜本的な見直し」の3つを実現する仕組みづくりが必要です。

◆従来のPUSH型の営業からPULL型の営業体制構築に向けて
 コロナ禍で顧客の価値観が大きく変化し、顧客の購買行動の起点はネットからの情報収集に変わりました。そのため、デジタルツールを活用し、PULL型の営業に対応できる営業体制への変革が必要です。

 

営業担当が自分から能動的にお客様にコンタクトしていくのが従来型のプッシュ(Push)型営業です。
 プル(Pull)型営業とは展示会、セミナー、Webサイトなどを通して、たくさんのお客様を集客し、その中から見込み顧客を探すのがプル(Pull)型営業です。この中でもコストパフォーマンスが高いのがWebサイトです。
 Webサイトには、展示会やセミナーに比べるとはるかに多くのお客様に訪問していただけます。関心のあるお客様は、検索エンジンや広告サイトから貴社のWebサイトを自分で探し、関心が強ければ、実に何度も何度も訪問してきます。そして、他社の競合商品と比較して、良さそうであれば話を聞きたくなるので問い合わせをしてきます。

①WEBサイトのアクセス分析により、関心を持っているターゲットの特定と関心内容・関心度合の把握
②関心度の高い人に絞って、営業電話を行い、アポ率を向上させる
③WEBサイト経由の問い合わせが増えるように、WEBコンテンツを充実させる
④WEBへのアクセス数が増えるように、認知度を上げる企画の検討と実施
⑤顧客情報の一元管理(名刺情報の収集も含む)
⑥データ分析に基づいたPDCAを回す

営業部門への投資に関する思考の転換が必要!
 今後、売上を伸ばすためには、営業担当を増やさなければならないという従来型の思考習慣からの脱却が重要になります。営業担当を一人雇用すると、給与、社会保険料、採用コストが発生します。この投資に対して回収できるかは未知数です。一方、DX(デジタル)に投資した場合は営業系ITツール(ホームページ・SNS・MA・SFAなど)確実に資産として残ります。