ガス屋さんは未来ある経営戦略を持とう! <その1>

◆経営のスタンダードが変わる
コロナ禍も3年目を迎え、「激変する経営環境」と言われて久しいですが、この先、経営環境はどのように変化していくのでしょうか。

まず、「人」の問題ですが、少子高齢化による労働力不足の問題です。日本の人口は平成20年頃をピークに毎年60万人以上の人口が減少を続けています。5年間で約300万人以上の人がいなくなることになります。これは静岡県や茨城県の人口に匹敵しますので、5年間で1県分の人口が減ると考えると、かなりショッキングな数字ではないでしょうか。よって今後、経営の前提として採用は年々、難しくなると考えるべきでしょう。
次に「モノ」の問題ですが、世界的な資源高トレンドの中、米中問題、ロシアのウクライナ侵攻などにより資源の価格高騰に拍車がかかっています。これに加え、アメリカの金融政策の影響による、極端な円安により、様々なモノの価格が高騰しています。いわゆるインフレです。輸出型の企業は円安のメリットはあるでしょうが、多くの場合、デメリットの方が大きく、収益を悪化させるケースが目立ちます。これまでの30年間、経営の前提は「デフレ」でした。それが「インフレ」に変わるということは、極端な言い方をすると、経営のスタンダードが真逆になり、すべてのやり方、考え方を180度変えなければなりません。
最後に「お金」の問題です。今、多くの企業がコロナ禍の影響を受け、資金繰りの安定のためにコロナ融資を受けています。借入金利が上がれば支払い利息が増え、利益を圧迫します。今まで低金利に甘やかされていた日本企業は厳しい環境下での経営を強いられることになります。

◆カーボンニュートラル(CN)とグリーントランスフォーメーション(GX)
そんな中で、2020年に菅政権が 2050年 カーボンニュートラル宣言をしました。そのために、2030年までに2013年比温室効果ガス排出量を46%削減するという目標をCOP26で発表しています。カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを意味します。「排出を全体としてゼロにする」とは、「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。
つまり、排出を完全にゼロに抑えることは現実的に難しいため、排出せざるを得なかった分については同じ量を「吸収」または「除去」することで、差し引きゼロ、正味ゼロ(ネットゼロ)を目指しましょう、ということです。このような、温室効果ガスを発生させないグリーンエネルギーに転換することで、産業構造や社会経済を変革し、成長につなげるグリーントランスフォーメーション(GX)によりエネルギー業界の大変革が始まりました。

GXがもたらす産業界全体の大変革にどう対応する?
GXは日本だけでなく、カーボンニュートラルを世界各国の政府と大企業が成長戦略に位置付けたということに意味があります。今後、CO2を排出する仕事はできなくなっていきます。どうしてもというなら、税金や罰金を払わなければいけなくなる時代がそろそろやってきそうです。日本も今まで、CO2をガンガン排出する仕事をしていた企業がCO2を回収する仕事に転換してきています。このGXで産業界全体に大変革が起きるので、ガス屋さんには勝ち抜ける経営戦略が必要です。