タイミングで成功する人、失敗する人<その6>

内容だけでは勝負できない交渉・説得のタイミング

自分の任務・仕事をすすめていくうえで、交渉・説得のプロセスはビジネスの場では不可欠である。任務・仕事が困難であればあるほど、この交渉・説得には気をつかうものである。では、商品や企画を売り込むうえで、仕事に協力してもらったり、困難な任務を引き受けてもらうために、上司、部下、仲間、取引先、顧客などを相手に常に交渉・説得しなければならないが、そのタイミングをつかむのにはどうすればよいのか。



交渉や説得にはタイム・リミットがある。このタイム・リミットを念頭にいれて、交渉・説得のスケジュールを描いてみると、タイミングをつかむことができる。交渉・説得にはどのようなプロセスをふんでいく必要があるのか、必要なプロセスも具体的に書き出してみる。どのような雰囲気作りが必要なのか、根回しは誰にいつまでに行うべきかといったことも調査し、交渉・説得までのスケジュール、必要な準備行動を書き込み、スケジュールをみながらタイミングをつかまえてみる。周到な準備づくりが交渉・説得のタイミングを用意してくれるといってよい。
タイム・リミットまでに交渉・説得できなければ失敗となることを念頭に、交渉・説得の条件、手順を詰めておくと、タイム・リミットまでに目的を達成しうる可能性も高まる。



相手が心理的にも肉体的にもYESといえるような状態にあるときに交渉・説得するのが一番よいタイミングといえる。相手が何かに成功しているとき、活気に満ちているときなどは一般的に説得のよいタイミングといえる。「気を制する」という言葉がある。売り込んだり、強引に説得したり、交渉するときに使う手である。相手に抵抗する余裕を与えない。先制攻撃をかける。スキをみて積極的に打って説得する。これらもタイミングの問題である。



相手が交渉・説得される事項について理解、了解している度合いが高ければ高いほど、交渉・説得しやすい。事前工作を充分行い、相手の理解度が深まった時を見極めて交渉・説得するのがよい。これが交渉・説得に成功するタイミングである。事前説明を誰かにしてもらったり、情報を流しておくようなことがこのタイミングづくりに役立つ。根回しは日本人の交渉・説得のタイミングづくりの知恵である。