コミュニケーションとは〈その8〉

コミュニケーションの距離


 人と人との関係と実際の距離の取り方には深い関係があります。相手やその場の状況にあわせた距離感を持たないと、馴れ馴れしくなったり、よそよそしくなったり、意志や感情が上手に伝わらなくなります。




パーソナルスペースの心理
 人にはそれぞれパーソナルスペースというものがあります。パーソナルスペースとは、相手が自分に近づくことを許せる範囲のことです。この範囲に他人が入ると防御本能が働き、普段と違う心理が働きます。

・神経質になる
・些細なことに敏感に反応する
・後ろや視角に入らない部分に神経が集中する
・相手の言動や視線・表情が気になる



 具体的には、電車やバス、公園のベンチなどに座っているとき、他に空席がたくさんあるにも関わらず、自分のとなりに人が座ってきたら、どんな気持ちになるでしょうか。とても神経質になり、「不安感」や「違和感」が生じます。相手の行動や表情を感じ取ろうと神経を集中させ、どんなことにも敏感に反応する自分がいるはずです。
 しかし、この相手が「大好きな人」の場合、心理状態は逆転します。大好きな人が隣にいれば、気持ちが優しくなり、緊張するどころかリラックスした状態になりますが、自分の隣の席が空いているのに、他の席に座ったら、先程と同じように、とても神経質になり「不安感」や「違和感」が生じます。
 このように、自分と相手の新密度によって、パーソナルスペースの領域は変化し、心理状態も正反対の反応を示します。