今後のLPガス販売事業者の課題を考える<その11>

電力・都市ガス小売り全面自由化によって、LPガスも含めて、家庭用エネルギーの業者選びについての質問や、一般消費者向けのセミナーのご依頼を受けるようになりました。今回はお客様目線で考えたいと思います。

◆何のための透明化・適正化か?

 そもそも、LPガスは自由料金です。自由料金ならば、お客様は各地域のLPガス販売事業者の料金等を比較考量して事業者を自由に選択できるはずです。
「ガス屋さんによって料金やサービス内容が違うんだ!そもそも、ガス屋さんって自由に選べたの?」「でも、比較考量するための情報が十分でないのよね!」というのがお客様の本音。
 LPガス料金を公表している事業者はごく僅かで、他社を選ぼうと思っても、標準的な料金メニューがわからなければ選びようがないのです。個々のお客様のLPガス料金に関する情報が十分に伝えられていない状況で、お客様は「自分の料金についてよく分らない!」「理解・納得のしようがない」となるわけです。選びようがないから、お客様の事業者選択による事業者間競争が働きにくいことが、LPガス料金の高止まりや不透明性が是正されない一因となっているのです。

 

◆「料金メニュー化」は戦略になる!

 料金メニューをお客様に知らせないことで自社が生き延びる道を選ぶか?お客様に知ってもらうことで自社が生き延びる道を選ぶか?今、事業者の皆様は選択の岐路に立たされています。
 「料金メニュー」とは、企業がお客様のライフスタイルに寄り添うところから生まれ、個々の顧客とよりよい関係を築いてこそ生まれる相互作用そのものです。お客様がどんな家族構成でどんな生活スタイルを望んでいるか、想定状況ごとに競争力のある価格を設定し、オープンにする必要があります。だから、「料金のメニュー化」は戦略になると言えるのです。

 
 
先に言えば「情報」後から言えば単なる「言い訳」
例えば、「このようなガス料金メニューがあります。このガス料金メニューを選んで頂くと、先月のご利用の仕方なら〇〇円お安くできます」ということを先にお客様に言えば、情報にもなるし提案にもなります。
ところが、同じことを切替勧誘業者が「〇〇△円安くなりますよ!」と安い価格をお客様が聞いた後で「では、弊社もその価格に合わせます!」とか「その価格よりもさらに下げます!」というと、それはお客様にとっては「今まで、騙されていたのだからガス代返せ!」という話になります。こうなるともう、言い訳は通用しなくなるし、切替業者の思うツボになってしまいます。