今後のLPガス販売事業者の課題を考える<その17>

◆真にお客様から選ばれる企業となるために(1)

目指すは「生涯顧客化」
・・・お客様からイロイロなお仕事を受注することで、お客様との信頼関係をより強固にしよう!

 一般に広域型の大手LPガス事業者はできるだけ多くの需要家を抱え、エネルギー供給を軸にLPガスだけでなく、大企業型の電力小売り事業や利殖目的の再生可能エネルギー事業なども手掛け、「販売量=安い料金」を武器に事業展開しています。一方、地域性の強い中小LPガス事業者は地域に根付いて、地域の発展に貢献するという発想を持って多くの事業者がお客様との信頼関係をより強固にする努力をしています。
 いずれにしても、どちらの戦略も顧客から信頼を得て、いろいろなビジネスの起点にできているかが重要です。「地域密着企業として生き残る!」という言葉をよく聞きますが、地域に根ざすから生き残れるわけでもなく、顧客接点が豊富なだけでは強みにならないということを理解する必要があります。
 電力・都市ガスの自由化を機にエネルギーに関する消費者行動は大きく変わりました。自由化前は、電気は地元電力会社で当たり前、都市ガスにするなら地元の都市ガス会社で当たり前、LPガスは特に吟味して事業者を選んだわけではなく、事業者を選べることすら知らないお客様も多く、どれもお客様に「供給業者を選ぶ」という意識が希薄でした。ところが、自由化によって、お客様に「供給事業者を選ぶ」という意識が覚醒し、「あえて選ぶ」行動をとるお客様が増えてきたのです。
 これまで、あまり意識せずに自社のエネルギーを使っていたお客様に自社を意識して選択してもらうために、新料金プランや新サービス、特典を設けて「改めて自社のエネルギーを選んでよかった感」を創出し、多様なお客様の選択条件(ニーズ)に応えていかなければなりません。
 親世代から子世代へ世帯主が交代することによって、親世代に通用していたガス屋流の仕事の仕方は今後、通用しなくなります。例えば、高くても信頼のおけるガス屋さんから器具を購入するとか、敷地内に立ち入って隣家のメータを検針させてくれるなど今まで日常的に融通が利いていたこともできなくなる可能性があります。
 反対に、高齢者世帯は馴染みのガス屋さんにガスやガス器具だけでなく暮らしのお困りごとを一括してお任せしたいと考えるお客様も少なくありません。「誰がエネルギー選択権者か」をよく見極めて対応を図ることが肝心です。
 ただし、価格、保安、サービスのすべてがトップレベルでないと、お客様から選ばれないというわけではないのです。お客様があえてスイッチするほどではないと思えるような価格・料金メニュー、サービスの提供といったリーズナブルさに、「どんな時でも、どんなことでもあなたに〇〇してもらいたい」といってもらえる信頼関係を作り出すことが「生涯顧客化」の鍵となります。


資本力のある広域型の事業者が攻めてきた時に、「ココはダメです。歯が立たない!」といわれるような戦略、戦術を考え、実践しましょう。「どんなことでもあなたに〇〇してもらいたい」といってもらえる信頼関係を築くことは地道なコミュニケーション戦略で可能になります。