コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その16>

「報・連・相」は社内全体で育むことによって向上します。部下が自分の問題点に気づくためには、先ず上司の不満を知ることが必要です。反対に、上司が部下の「報・連・相」を正すためには部下の言い分(できない理由)に耳を傾けなければなりません。


  上司たちのつぶやきを聞いてみよう  
「報・連・相」の受け手である上司たちは、日頃どんな不満を持っているのでしょうか。
・指示したことの進捗をこちらから聞かないと報告しない。
・連絡が事後的で、フォロー可能なタイミングを逃している。
・困ったことは独断で進めず相談してくれれば安心なのに。
・こまめな「報・連・相」を求めるとムッとした表情をされる。


  部下にも言い分があります  
団塊の世代の上司たちからは、想像もできない部下の考えかもしれませんが、最近の若い社員たちにも言い分があるようです。
・言われたことをきちんと完了しているのだからいちいち言葉で報告しなくても問題ないはず。
・連絡の必要があるなら、最初からそう言って欲しかった。
・「相談しろよ」と口では言うけど、しかめっ面で、とてもじゃないけど話しかけづらい雰囲気が漂っている。



「報・連・相」ができない部下への指導ポイント
◎まず、上司が自らを見直すことからはじめませんか
 人材育成の名言に「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」これは山本五十六の有名な言葉ですが、半世紀以上たった今でも企業研修などで活用されています。
 「報・連・相」についての指導は、単に「知識」や「技能」を育てるのではなく、社会人として必要な姿勢を教えること、つまり「態度教育」に位置付けられるのではないでしょうか。態度教育では「やってみせ」という部分が重要です。部下は上司の仕事ぶり、取引先との接し方や上役に対する態度をちゃんと見ています。上司の立場である方々は、手本となるような正しい報告・連絡・相談ができているでしょうか。
 指導する立場の上司こそ、まずは自分が「適格な報・連・相を受けるにふさわしいか」と振り返ることが重要です。部下を叱る以前に、自分が改めるべき点が見つかるかもしれません。

◎「言ったよな?」「聞いていません!」は職場から排除しましょう
 職場内の挨拶、笑顔、声掛けなど、当たり前の小さなことが上司と部下のコミュニケーションを円滑にします。日頃から良好な関係であれば、部下が適切な「報・連・相」を実行しやすくなるはずです。
 上司の「言ったよな?」、部下の「聞いてません!」というすれ違いの会話をなくすという意識を上司が率先して持つことが大切です。