コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その5>
「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。
今回の「連絡」の事例は状況が変わった時は「中間報告」が必要だったということです。
人と人をつなぐ連絡こそ、当事者意識をもつことが大切です。
連絡の事例2
顧客から課長宛てにかかってきた電話を、新入社員の木村さんがとりました。「あいにく課長は不在です」と伝えましたが、何やら慌てていて急用のようです。そこで木村さんは、「私から課長に連絡を取り、課長から連絡させます」と約束して電話を切りました。しかし、何度課長に電話しても出ないため、留守録に伝言を残しました。その1時間後、先ほどの顧客からクレームが入りました。「どうなっているんだ!1時間も経ったぞ!!」
事例2の問題点 待たせている場合には必ず中間報告を
「課長から連絡させる」という木村さんの言葉を信じ、相手は電話を切ったのです。木村さんは自分の言葉に責任を持たなくてはなりません。自分からも一度連絡をし、「すぐに課長に電話をしたが、何度かけてもつながらなかったため留守番電話に伝言した」という現状を速やかに伝えるべきでした。そうすることで、相手は次の手段を考えることができたはずです。
事例2の改善点 連絡する場合にも「報告」の観点が必要です
◎受命と報告の観点から再確認しよう
この4つは報告の基本です。木村さんは課長宛ての電話を受けただけの立場ですが、自分から先方に「課長に連絡を取って電話させる」と伝えた以上、当事者同様の責任を負っています。つまり、電話の相手から受命されたことと同じで、上記報告の基本がそのまま該当します。木村さんには、「状況が変わったら自ら速やかに中間報告する姿勢」が欠けていたと言わざるをえません。
◎連絡を受けた時点でもう一つやっておくべきこと
この事例では、電話を受けた際にも一言伝えるべきでした。
「もし課長とすぐに連絡が取れなかったら、いかがいたしましょうか」 顧客との電話を切る前に、こんな一言があれば、相手はより早い段階で他の手段も考え始めることができたはずです。誰かと誰かの橋渡しをする連絡を担う場合には、自分が当事者のつもりで、万が一の事態も視野に入れた気配りをしましょう。