コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その7>
「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。
中間報告は、自分の身だけでなく、組織(会社)を守ります。
報告の事例3
企画開発部に所属して3年目の山口君は、上司から新規のプロジェクトの構想を1か月で仕上げるように命じられました。頑張り屋の山口君ですが、英文資料を読むだけでも時間がかかり、毎日夜遅くまで残業しても終わりそうにありません。半月ほどたった時、上司から「大丈夫か?」と進捗状況を尋ねられましたが、思わず「何とかなりそうです!」と答えてしまいました。しかし、結局、期限までに提出することはできませんでした。
事例3の問題点 一人で抱え込まずに中間報告を
うまくいかないときはつい、「そんなことを言ったら怒られてしまう」と思いがちです。しかし、最終的に困るのは会社です。正直に中間報告さえしていれば、上司がヘルプ要員をつけてくれたり、その案件を他の人にやらせるなどの采配をとってくれます。一瞬の小さな恥をおそれて業務に支障をきたすことは、組織の一員としてあるまじき行為。山本君の失敗は、自分のプライドを大事にするあまり、中間報告を怠ったことにあると言えそうです。
事例3の改善点 中間報告は上司のためでもあります
◎進捗状況とその時点での問題点を報告
一見簡単そうな仕事でも、実際に取り掛かってみてはじめて「えっ、これってどうすればいいの?」と不明点や疑問点が出てくることがあります。そんなときは、指示を出した上司に「恐れ入りますが、○○の件で少しご報告したいことがあるのですが・・」と声をかけ、進捗状況をきちんと上司に把握してもらうことが大切です。また、「実はここが分からない」「このままでは時間内に終えることができそうもない」などと困っていることを率直に相談して早期に解決を図ることも中間報告の意義です。
◎上司は常に進捗状況を気にしています
指示を与えた上司は、進捗状況をいつも気にしています。しつこく聞けば『部下を信用していない上司』というレッテルを張られることをおそれて、気にしないフリをしている上司も少なくありません。ですから、自分から率先してタイミングよく中間報告をすることが、実は上司を安心させ、評価させる秘訣でもあります。仕事が順調に進んでいる場合も中間報告は必要です。「大丈夫だと思います」「なんとかなります」という根拠のない楽観的な報告は絶対にNGです。