コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その15>

「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。



困った時は、速やかかつ率直に相談しましょう。
「相談される⇔解決する」の連続が組織のあるべき良好な姿です。

  相談の事例5  
営業の中野さんは、次のチームリーダー候補として期待されている真面目で優秀な社員です。ところが、3日後に取引先に提出するはずの資料の提出期限が、取引先の都合で急に明日の午後に変更になりました。資料を完成させるためには沢山の事例を調べなければならず、これでは到底間に合いません。進捗状況を聞いてくれた上司には、思わず「大丈夫です!」と答えてしまいましたが・・・・。


  事例5の問題点   早めに相談すれば、解決方法が見つかるかもしれません
仕事には常に互いの都合というものがあります。それが取引先の都合である場合には、第一に全社を挙げて相手のためにベストをつくし、相手の求めに適切に対応することがビジネスの現場のあるべき姿です。その一つひとつを担っているのが中野さんのような現場社員ですが、すべてを自分だけで解決することができないことがあるのも当然ですから、自分だけが困ることはないのです。

  事例5の問題点   困った時こそ周囲に相談すること
◎そのための上司であり、そのための仲間がいるのが組織です
 困っているのに相談せず悪い結果を招くことは、本人の信用を失うだけでは済まず、対外的に会社の信用をも失うことにつながります。一人で抱え込まず速やかに上司に相談することが必要です。この場合、中野さんがやるべきだったことを順を追って整理してみましょう。

 ほぼ成功体験しかなく上司から期待されている社員にとって、上手くいかない現状や失敗を相談するのは辛いことでしょう。しかし、組織の力と知恵は、このような場面でこそ有効に発揮されます。社員の多忙さを誰よりも知っているのは上司です。一人に大量の仕事を押し付けてしまったことを見直す良い機会にもなるでしょう。上司も部下も失敗やミスを繰り返し改善しながら前進し成長していくものなのです。

◎相談上手になりたいものです
何でもかんでも相談するのは幼い子どものすることですが、相談すべきときに上手に相談できることは、ビジネス社会を生き抜くためのヒューマンスキルともいえます。「相談=怒られる」ではなく、「相談=互いに分かり合う」となり、「報・連・相」が常に社内で良好に回り続けることが、良い社員を育て、良い社風を築くことにつながります。