コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その9>

「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います

相談内容と相談の仕方は、立場をわきまえたものにしましょう。
相談をした後は、改善状況などをこまめに報告しましょう。

  相談の事例3  

人事課長の佐藤さんは今年入ってきた新人の仕事ぶりが気になって仕方がありません。頼んだ仕事に対する出来栄えは問題ないのですが、普段の言動が気持ち良いものではないのです。そこで佐藤さんは折を見て、人事部長に「どうしたらいいか」を相談しました。ところが、逆に佐藤さんが注意されてしまったのです。「君ねぇ、言いたいことはわかるけど、自分でどうすればいいのかくらい考えてから相談しろよ!」

  相談3の問題点   相談は、相手に時間を割かせることでもある
部長の言う通り、佐藤さんの相談は新人の現状だけでなく、①考えられる原因、②改善策までを自分で考えたうえで、上司の意見をあおぐ形でなされるべきでした。新人レベルなら丸投げの相談内容でも許される場合がありますが、組織には立場・役割がそれぞれちゃんとあるのです。人事課長としての責務を有する佐藤さんは、自分の立場を全く理解していないことになります。

  相談3の改善点   相談する前に考えるべきこと
◎相談の前に熟考することが大切
この事例のような相談は、捉え方によっては上司に告げ口しているだけになりかねません。相談し結果、適切な注意や忠告をするという流れを想定するならば、相談する前に心がけることがあります。

・事実をよく調べること←相談する以上、裏付けになる証拠は必要です。
・原因をつかむこと←解決案の妥当性について相談するには、判断材料となる問題の原因も伝えなければなりません。
・今相談し、解決に着手することがベストなタイミングであるかどうかまで見極めること

また、上司にアドバイスをもらった後にも留意すべきことがあります。あくまで自分からの言葉として忠告や指導をするということです。「部長も怒っていたぞ」などと勝手に部長の姿をちらつかせることはしてはなりません。

◎相談した以上、その後の状況をきちんと報告すること
相談された側としては、どんなに多忙でもアドバイスの結果がどうなったか、気になっているものです。相談したら、それがどうなったのか現状報告をできるだけ早い段階でするべきです。相談したことで人間関係が一歩深まったにも関わらず、また元の関係に戻ってしまうのも残念です。相談した後は報告や連絡をマメにするようにしましょう。