ガス屋さんは未来ある経営戦略を持とう! <その3>

◆GXでエネルギー業界の大変革にどう対応する?

2020年に菅政権が2050年カーボンニュートラル宣言をしました。そのために、2030年までに2013年比温室効果ガス排出量を46%削減するという目標をCOP26で発表しています。ですから、2030年までに何が起こるのかというと、化石燃料から非化石燃料使用に転換し、電化の促進をして、ゼロエミッション電源比の大幅な引き上げをめざしているのです。太陽光発電、風力発電などの再生エネルギー導入の強化。原子力発電の再稼働。エネルギー使用量の大幅削減をめざして、建築物の省エネ基準適合の義務化、トップランナー基準の改正。そして、ZEH住宅の普及強化などです。
これらは、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて2030年までに2013年比温室効果ガス排出量を46%削減するという目標達成のための行動指針なのです。よって、GX(カーボンニュートラル)によってエネルギー業界の大変革が始まり戦略的対応が必要になることは間違いありません。
LPガス業界を取り巻く状況は下記の通りです。

①電力&都市ガス自由化
●参入が拡大したが卸価格上昇で集約化へ
●電力会社VS都市ガスの図式がさらに鮮明化
●LPガスの収益・顧客を背景とした電力参入継続
●サバイバル競争になりつつある規模が優先される
●本来の自由化から大手間のバトルロイヤルの傾向
●地域・電力会社の環境下で大手に集約化される
②再エネの拡大
●電力の脱炭素化が大きな課題で再エネ利用促進
●再エネを8%⇒2030年22~24%へ倍増させる
●再エネ賦課金が上昇し電力とのコスト競争可能に
③原油の高騰
●ウクライナ問題も含め原油の高騰が長期化の予測
●CP・MB に影響しLPガス1000 ドルを超える可能性
●販売価格へ全量転嫁も困難で収益低減化へ



◆競争激化の中で勝ち抜ける経営体質を構築するためには
●電力・都市ガス・競合他社とのコスト競争に勝てる経営体質の構築へ
●生産性向上、コスト削減、DX活用で体質強化を図る
●競争力のある料金でも利益を上げられる経営体質の構築を図る
●顧客に選ばれる料金とサービスを競う時代が到来している


原点(本質)に立ち返り事業ドメインを見直す
転換と危機の時代にどう立ち向かうか?一言でいうと自立型企業、市場創造型企業への転換が必要です。そのためには、お客様に価値の創造=「お役立ち」を進化し続けなければなりませんから、おのずと事業ドメインが変化します。「我社はエネルギー供給業です」と言っていては勝ち抜けることは難しそうですね。「そうだよね、あなたの会社でしかできない仕事をしているものね!」とお客様が思うような「お役立ち」の進化を続けながら即座に行動する。
そのためには社員の協力が得やすい会社にしていかなければなりません。経営者だけが正しいことを考えても実行するのは社員です。社員が「なるほど!よし、やってみるか!」とついてきてくれるあるいは協力してくれるような会社づくりが必要です。社員が楽しく仕事ができる風土をつくることもピンチをチャンスに変えていくことにつながっていきます。