DXの活用でガス屋さんの『顧客』を『個客』に <その3>

DXに向けた業務の見直しは、今までの業務の矛盾や本質をとらえる数十年に一度のチャンスでもあります。LPガス業界はデータ量が多いので効果が出やすいと考えられますが、そのためには「レガシー企業文化からの脱却」がカギとなります。DXを新たに活用することでガス屋さんの『顧客』を『個客』に変えるという新たな視点から既存の慣習やルールを変革するヒントを引き続きシリーズでお届けしますが、今回は「レガシー企業文化からの脱却」について触れてみたいと思います。

◆企業の目指すべき方向性を明確にする
コロナ禍によって人々の固定観念が変化した今こそ、ガス会社が企業文化を変革するチャンスです。世の中は急速にデジタル化に移行しています。ビジネスにおける価値創造の中心はデジタル化の浸透にあります。デジタルサービスが提案する新たな価値を享受することが当たり前になり、コロナ禍を通じて変化した人々の固定観念やテレワークをはじめとしたデジタルによる社会活動の変化はもう、元には戻らないからです。
また、ガス会社がDX変化に迅速に適応し続けることも重要です。顧客の価値観に対する変化に対応するデジタル化は必須ですが、同時にビジネスのありようを変化させなければデジタル競争の敗者になってしまいます。よって、ITシステムによる合理化だけでなく、ガス会社の企業文化(固定観念)そのものを変革し、目指すべき方向性を明確にすることが求められています。

コロナ禍で表出したことは、コロナ禍は一過性の特殊事情ではなく、常に起こりうる事業環境の変化に過ぎないのです。これまでは疑問を持たなかったガス会社の企業文化の変革に踏み込むことができたか、できないかが「レガシー企業文化からの脱却」ができるかできないかになるともいえます。ガス会社が競争上の優位性を確立するためには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ、「素早く」変革「し続ける」能力を身につけること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することが重要です。

合理化やコスト減ではなく、顧客や社員のためのDXを
先日、新規得意先の社長様からこんなお悩みを拝聴させていただきました。
「働き方改革で残業もさせられない。LPWAで合理化・コスト削減はいいが、顧客との接点が弱くなる。何かしら手を打たないと・・・・」ガス業界で推進している合理化は何のため?誰のため?のものか考えさせられました。コロナ禍で明確になりましたがLPガス事業者はライフライン事業者ではなくインフラ事業者です。地域の人々が安心安全で快適なくらしができるようなサービスができるガス会社で働いている誇りとやりがいを持てるような働き方ができる会社にしたいと社員やお客様のことを第一に思う社長の優しさと情熱を感じました。