コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その11>

「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。

相手に貴重な時間を割かせるからこそ、事前連絡をすべきなのです。 
事前連絡では、クッション言葉を添えるのがビジネスセンスです。

  連絡の事例4  
営業部の岩田さんは、契約締結のために社長、部長と取引先に向かっています。出かける間際に社長に急ぎの電話が入り、出発がかなり遅れてしまいました。
「遅刻しそう・・・」と不安になりましたが、仕方がありません。結局、5分遅れで到着すると、先方の社長と部長は担当者とともにすでに会議室で待っていました。「こんな日に遅刻は困ります」と社長たちの前で開口一番言われてしまった岩田さんでした。



  事例4の問題点   遅刻する場合には事前連絡が必要です
 そもそも出る時間が遅れたことが問題ですが、これは岩田さんのせいではありません。しかし、先方とアポイントメントを取っている以上、「遅れるかもしれない」と思った時点で、一言、先方に連絡をする必要がありました。遅れる理由は、「社内の事情」でよかったはずです。そうすれば、先方を不安な気持ちで待たせることもありませんでした。結局、社長と部長にまで恥をかかせることになってしまいました。

  事例4の改善策   タイム・イズ・マネーをご存じですか?
◎事前連絡なしの2分遅れは、事前連絡した10分遅れより悪い
 「タイム・イズ・マネー」とは「1分たりとも自分と相手の時間をおろそかにするな」という意味だと理解してください。たとえば、電車の遅延などで、訪問先との約束の時間に遅れそうという場合、あなたはどうしますか?「走れば数分の遅れで済むから急ごう」と全力で走るか、それとも、駅に着いた時点で立ち止まり、先方に「少し遅れます」と連絡を入れるか、どちらでしょうか。
 アポイントメントの時間は厳守しなければなりません。万が一、遅れることが事前に分かる場合には、必ず約束時間『前』に連絡を入れることがビジネスマナーです。遅れる時間がたとえ数分でも、相手の時間を無駄にすることにつながるからです。アポイントメントとは、相手の時間を拘束することだと心得ましょう。

◎事前連絡するときには適切な言葉を添えましょう
 多忙なビジネス社会では、「いちいちそんなことを連絡してくるな」という考え方の人もいます。ですから、事前連絡をする場合には、相手のそんな気持ちを理解した上で、「ご多忙のところ恐縮です。念のために確認させていただきたいのですが」などと言葉を添えることをおススメします。これはクッション言葉といい、相手との関係をスムーズにするために効果的な表現です。