コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その13>

「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。

誰に何を報告すべきか、正しく判断しましょう。
重ねて指示を受けた場合は、報告する順番に気をつけましょう。

  報告の事例5  
営業2課の山本さんは社歴2年目。今日も朝から直属の課長の指示で、14時から行われるプレゼンの資料作成に取りかかっていました。あと少しで終わるという時、部長から取引先に重要書類を届ける急用を頼まれました。「残りは午後にやれば間に合う」と考えた山本さんは、昼休みを使って書類を届けに行きました。ところが、会社に戻るとカンカンの課長が待っていました。「一体どこに行っていたんだ!資料の内容を大幅に変更することにしたんだぞ。これではプレゼンに間に合わないだろ!」


  事例5の問題点   指示者である直属の上司には必ず報告を
この事例の山本さんの失敗はどこにあったのでしょうか?それは、直属の上司である課長に、何一つ報告することなく黙って外出してしまったことです。上司の上役からの命令を優先した点は正しいものの、これでは目の前にある仕事を放棄したことと同じになってしまいます。昼休みは食事と休憩を取って午後に備える時間。昼休みを利用したこのような外出も、じつは課長に一言報告すべきことなのです。

  事例5の改善策   指示系統を考慮して報告相手と順番を選ぼう

◎直属の上司と上司の上役との関係
会社は組織で成り立っています。社長一人ですべての仕事をすることは不可能ですから、複数の社員がタテとヨコの関係でつながりながら仕事を分担し、社長を頂点としたピラミッドの形をつくっています。お互いがしっかり連結しながら大きな成果を出していくことが求められる会社という場所では、タテの指示系統が重要な役割を果たします。上司の上役からの指示は最優先で対応しなければなりません。

◎報告すべき相手とその順番を間違えないように
直属の上司から指示された仕事をしている途中、そこに別の上司からの指示が加わった場合には、先ずは直属の上司に一言報告することを怠ってはなりません。特に、社外に出る場合には、報告なしでは無断外出とみなされても仕方がありません。この場合の報告は、直属の上司から外出許可を得るという意味合いが含まれます。その上で外出し、戻ってきたらまず、上司の上役に仕事を完了させたことを報告し、次に、直属の上司に「ただいま戻りました。これから仕事に戻ります」という流れになります。