コミュニケーション能力アップのための 職場の「報」「連」「相」 <その1>

「ホウ・レン・ソウ」の「ホウ」とは「報告」、「レン」とは「連絡」、「ソウ」とは「相談」のことです。この3つが職場で的確に使えるようになると、コミュニケーション能力がグンと向上し、周囲から一人前と認めてもらえるはずです。「報・連・相」の特徴は、一つ一つが独立したものではなく、3つが連携して初めて大きな力を発揮することがあります。事例をもとに、どこに問題があり、どうすればいいのか考えてみたいと思います。

「報告」とは、関係者に対して、仕事の進捗状況や結果、予期せぬトラブルの発生など、重要な事項を知らせることです。報告内容と報告するタイミングが重要になります。

  報告の事例1  
新入社員の鈴木さんは部長に会議用の資料を30部印刷するように頼まれました。すぐに印刷し、部長のところに持参しましたが、不在だったために自分の机の引き出しにしまいました。資料の中には社外秘の情報が含まれていたからです。しばらくして、「午後の会議の資料はどうなっているんだ!」と怒る部長に呼ばれた鈴木さんは事情を説明しましたが・・・・

  事例1の問題点  
報告まで済ませてはじめて仕事が完了します!
この事例での鈴木さんの失敗は2つあります。
① 周囲への伝言や部長宛てのメモを残さなかったこと ② 部長から尋ねられるまで報告をしなかったこと
社外秘の情報が含まれていることを考慮して、上司の机に置かなかったことは正しい選択でした。しかし、受命「命令を受けること」したらその作業が終了したことを報告するまでが仕事のうちなのです。

  事例1の改善点  
タイムリーに報告するために大切なことは?
◎上司は「忙しい人種」であることを理解しよう
「頼まれたことをきちんとしたから問題ない」というのは勝手な思い込みで、命令した側は受命者本人から報告を受けなければその仕事の完了を知る由もありません。「受命」と「報告」は常にワンセットで仕事が完了します。
ただし、報告するときには、タイミングを考えてください。あなたの都合ではなく、日々、多数の案件を抱え、頭も体もめまぐるしく回転させている忙しい上司の都合を第一に考えなければなりません。
◎報告するための方法を工夫しよう
報告したくてもできない場合には、それを知らせるためにどんな手段があるかをしっかり考えてください。この事例では、部長席に近い人に伝言を残すとか、机の上の見やすい場所に簡潔なメモを残してあれば、部長の方から声をかけてもらえるはずです。