ガス屋さんのためのLINEマーケティング ~接点戦略の再設計~ #7
LINE公式アカウントというと、キャンペーンを配信したり、商品を販売したりする「販促ツール」というイメージが強いかもしれません。しかし、LPガス販売会社にとってLINEには、もう一つ大切な役割があります。それは、今いるお客様との関係を守ること。新規のお客様を一件獲得しても、既存のお客様が他社へ切り替わってしまえば、顧客は増えていきません。これからは
接点がないと「変えてもいい会社」になる
特に注意したいのが、普段ほとんど接点のないお客様です。毎月ガスを使っていても、自動検針、口座振替、WEB明細となれば、ガス会社と顔を合わせる機会はほとんどありません。そんな状態で他社から「ガス料金が安くなります」と声を掛けられたら、どうでしょう。今の会社を選び続ける理由がなければ、「安くなるなら変えてもいいかな」と考えるのは不思議ではありません。競合に負けた原因は、価格差だけではなく、その前にお客様との関係が薄くなっていたことにあるのかもしれません。
賃貸のお客様は「未来のお客様」でもある
賃貸住宅にお住まいのお客様は、入居物件がたまたまLPガスだった、という方も多いでしょう。しかし、そのお客様が将来、戸建て住宅を建てることになったらどうでしょうか。今度は、自分で住まいや設備、エネルギーを選ぶ立場になります。ところが現在の新築住宅では、ハウスメーカーからオール電化を提案され、そのまま採用するケースも少なくありません。そのとき初めて「LPガスも選択肢の一つ」と伝えようとしても、すでに手遅れ。だからこそ、
競合対策は、値下げだけではない
他社の安い料金を見て、値下げで対抗していては、利益を削るばかりです。価格以外に「この会社を変えたくない」と思ってもらえる理由を日頃からつくっておくことが重要。・LINEで役立つ情報を届ける。
・災害時にはいち早く注意を呼びかける。
・困ったときの相談窓口を分かりやすくしておく。
こうした小さな接点の積み重ねが、「いつも気にかけてくれている」「何かあれば相談できる」という安心感につながります。
新規顧客を獲得する「攻め」の前に、まず既存のお客様との関係を守る「防御」を固める。
反発や問い合わせを恐れて、できるだけ目立たないように値上げを伝えたくなる気持ちも分かります。しかし、お客様の不信感を招くのは、値上げそのものだけではありません。「突然上がった」「何も説明してくれなかった」と感じたときに、会社への信頼は失われていきます。
季節ごとのガスの安全な使い方、災害への備え、給湯器の凍結対策、光熱費を抑える工夫、地域の情報など、お客様の暮らしに役立つ内容を継続的に届けます。売り込みではなく、「安心して暮らしてほしい」「困ったときには相談してほしい」という姿勢を伝えていくのです。
例えば、冬になる前に給湯器の凍結防止方法を伝える。夏には熱中症対策やエアコンの上手な使い方を紹介する。台風シーズンには停電への備えや防災情報を届ける。どれも商品を売る話ではありません。しかしお客様にとっては「知っていてよかった」と思える情報です。こうした情報を継続して届けている会社には「いつも役立つことを教えてくれる会社」という印象が残ります。この印象は、一度のキャンペーンではつくることができません。
信頼は、一度で手に入るものではありません。役立つ情報を届ける。困ったときにすぐ対応する。約束を守る。こうした小さな積み重ねが、お客様の中に信頼として蓄えられていきます。私はこれを「信頼残高」と考えています。銀行口座に少しずつ貯金をするように、お客様との信頼も日々積み立てられていくものです。そして、給湯器の交換やリフォームなど、大きな相談が必要になったとき、その
お客様は、普段からガス会社のことを考えているわけではありません。毎日ガスを使っていても、ガス会社を意識するのは料金の確認や機器の故障、点検のときくらいです。だからこそ重要なのは、
ここで活躍するのがLINE公式アカウントです。多くの会社がLINEを「お知らせを送るためのツール」と考えています。しかし本当の役割は、違います。例えば、毎月1回でも暮らしに役立つ情報を届けていれば、お客様はそのたびに会社の名前を目にします。こうした情報はすぐに売上につながるわけではありません。しかし、「この会社はガスのことだけでなく、暮らし全体を考えてくれている」という印象を少しずつ積み上げることができます。また、スタッフ紹介や地域イベントへの参加、防災への取り組みなどを発信するのも効果的です。知らない会社より知っている会社、会ったことがない担当者より顔の見える担当者に、人は自然と安心感を覚えるものです。重要なのは、「売りたい商品」ばかり発信しないことです。給湯器の案内を送る前に、給湯器の凍結防止方法を伝える。コンロのチラシを送る前に、簡単レシピを紹介する。まず
以前は、検針票と一緒にニュースレターやチラシを届けていた会社も多かったと思います。そうした紙は、会社の存在を思い出してもらうための大切な接点でした。
訪問が減る時代でも、お客様との接点をなくさない工夫はできます。その一つがLINE公式アカウントです。LINEなら、暮らしに役立つ情報や季節のお知らせ、点検案内などを無理なく届けることができます。売り込みではなく、
お客様は、ガス機器の不具合や暮らしの困りごとが起きたとき、「どこに頼もうか」と考えます。そのとき、真っ先に思い浮かぶ会社があるかどうか。ここがすべての分かれ道です。逆に言えば、思い出してもらえなければ、比較の土俵にも上がれません。どれだけ良いサービスを提供していても、“頭の中に存在していない会社”は選ばれないのです。

LINEというと、キャンペーン配信や販促のイメージがあるかもしれません。でも本質はそこではありません。LINEは、ゆるやかにつながり続けるための仕組みです。
月に一度、暮らしに役立つ情報が届く。寒くなる前に注意喚起が届く。価格改定の背景を、自分たちの言葉で丁寧に伝えられる。
それだけで、「きちんとしている会社だな」という印象は積み重なっていきます。




